十月二十六日

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列車で栃木まで

約二時間

車窓に流れていく景色を記録する



縁側の先に見える幼児玩具

川で水浴びするサギ

屋根から高く伸びるアンテナ

ひっそりと実らせる柿の木

庭を掃く老人

ボロボロになったまま放置された障子

大型トラックのフロントに並べられたリラックマ

錆びた犬小屋

物干し竿に吊るされた干し柿

さらさらとそよぐススキ

栃木にあるカリフォルニアホテル

舞い踊るモンキチョウ

窓辺に置かれたサボテン



空気がよくすんだ日だ

とおくに山がくっきりと見える

空は秋の青色この時期の空気の色

車から通り過ぎていく景色

窓から吹き込む風の匂い

カーステレオから流れるやさしい音楽

最近どうですかと世間話

マンゴー味のグミ二粒貰う

柿の木の下で写真を撮った

さっき車窓からいくつも眺めていた

秋らしいねと微笑みながら

誰もいない田園の中 

真ん中真っ直ぐ歩いていった 

山に囲まれぽっかり空いた空の下

こどものきもちでてとてと歩いた

緑と黄白と青色で構成された自然

そうやってずっと生きてきたものたちの色

だからきっと落ち着くんだね

わたしはこの町がだいすきだなあ 

またいきたいところがあるんだ

でも帰らなくちゃお家に 

ビルが目を赤くしてこっちをみている部屋に

詩を書き絵を描き歌を歌う

ご飯を作ってテレビを観たり 

ただいまとおかえり を言える場所

さっきのきもちを残さなくちゃ

とてもきれいだったから



喫茶店でコーヒーを飲む

あなたの話わたしの話をする

二時間経つ

ありがとうさようならまた会いましょう

きっとすぐ

駅は途端に忙しない 

高速で運ばれてわたしの箱へ向かう

帰らなくちゃ 

わたしが更新したことをわたしに伝えなきゃ