ブルーグレイな夜の空
肌を撫でる空気は少し涼しい
夏虫は雑草の下で
蝉は近くの林で鳴いている
私は息を潜めてこの言葉を鳴いている
新宿のビル群は遠くに
いつも通り赤い目を光らせている
闇の中ぽっかり空いた白い穴 白い◯
空いた窓の外からこちらを
じっと見ていた気がした
どうもわたしはこのとおり
このとおりで生きております
暗澹たる私達の生きている世界
曖昧模糊とした自分
燈となるものは暮らしの中で見つける
ちいさな あたたかいもの
⚪︎夏
クーラーから出るひゃっこい風
冷たいジュースで火照った身体を冷やす
カランと鳴る 液体と氷とガラス
蝉の声と眩い太陽
蚊取り線香の香りと煙
草履 コンクリート ぺたぺた歩く
氷を削る音 口いっぱいに広がる甘味と冷たさ
⚪︎今夏ないもの
祭囃子と立ち並ぶ出店
カラフルな景品と様々な食品の匂い
肩と肩触れ合う参道
浴衣姿の子供たち 可愛い人たち
夜空に大輪が咲く 玉が弾ける大きな音と煙の匂い
熱された砂浜をビーチサンダルで歩く
ぷかぷか浮かびゆらゆら揺れる浮き輪
ひと休憩 涼む ふうと呼吸し海を眺める