2021/10/12 早朝
薄曇りな朝、寝静まった人々、起きている私。
朝なのに、夕方のよう。
みんな寝ている夕方なんて奇妙で、
悪い夢でもみているようだ。
これから寝ようとしているというのに、
悪い夢からどんな夢を見るだろうか。
止まない雨の中で何もしたくない。
2021/10/12 夕
新宿南口から徒歩三分程の場所で仕事を終えた。
友人の展示が開催期間中とのことで、丸の内線に数十分揺られ辿り着いたのは銀座。
此処へ来るといつも緊張してしまう。
普段立ち寄ることがなかなか無いのと、
バブルの香り残る街並みにソワソワしてしまう。
然し、嫌な気分ではない。
一時間程、予定の時刻より早かったので、茶でもしばこうと辺りを見回す。
小雨模様の仄暗い夕暮れ。
メイン通りはどこも賑わっており、『人の少ない処で休みたい』思い、人気の無い場所を探し、てくてくと歩いていく。
メイン通りから少し入った脇の道を進むと、レトロなタイポグラフィで書かれた喫茶店の看板を見つける。
『ここにしよう』とエレベーターで三階まで上がる。
がらんとした店内、狙い通りレトロな雰囲気の喫茶店だ。
綺麗に揃えられた銀髪に、制服姿がよく似合う、如何にも喫茶店のマスターらしい風貌の店員に案内して頂く。
壁にはファニーで可愛らしい印象の絵画が掛かっている。どうやら北野武さんのアートらしい。
じっと眺めながら、荘厳なクラシックが店内にうっすらと響き渡るのを静かに聴いていた。
店内は暖かく、外気で冷えた身体が解けていくのを感じる。
恐らくアンティークと思われる程よい明るさの間接照明に気持ちが微睡み、ぼうっとしてくる。
運ばれてきたメニューを眺める。
小腹が空いていたので、キャラメリゼのムースとブレンド珈琲のケーキセットを頼む。
普段ケーキの類はあまり食べないが、喫茶店に来ると食べたくなるのは何故だろう。喫茶店の魔法。
煎った豆が香り高い珈琲と、甘さ控えめな甘味に舌鼓を打つ。
銀座という土地柄のプラシーボなのか、格式高い味わいに感じるのは根っからの貧乏性のようで、なんだか恥ずかしい。
暫く喫茶を楽しみながら、この日記を書いていた。
つい書き残したくなるような、素敵なお店だった。
誰か友達や家族を連れて行きたくなるような…。
あの店員さんは一体どんな人なのか想像したりするのも楽しい。
銀座に立ち寄った際は、また行きたいと思う。