車窓から流れて行く景色を見ていた。
びゅん、 びゅん、 というスピードで建物や車、人々が流れていく。
高速で移動する乗り物のなか、「街を滑っているみたい。」と思った。
小学校の校庭では休み時間だろうか、子供たちがたのしそうにボールを投げたり駆けっこをして遊んでいた。
電車の中は、いつもよりずっと、息苦しく感じた。
目に見えない恐れどうすることもできない、咳払いを咎めることはできない。
胸が詰まるような想いを、夕暮れの街が流れていく車窓からふっと逃すように、見つめていた。
今日も変わらず夕暮れは、眩く美しかった。
光を浴びて、すこし気が楽になったのを感じた。
徒歩と電車での移動中、「すきなきもち」について考えていた。
例えば、音楽。
当然、だいすき!未だ底知れぬほど。
音楽を作っている人間は音楽が好きです。(と思っています。ちがう場合も…?)
売れる音楽の話は置いておいて、尊い音楽・私が愛おしいと思う音楽は、
人の想い(すきのきもち)(伝えたい・届けたいきもち)が丹精に織り込まれた
表現作品なのです。
一人で作り上げる方もいらっしゃいますが、
私の場合は、私と他のアーティスト様で作り上げる音楽の形が多いので、
複数人で作り上げる工程で制作されている場合の話をしますと、
様々な利害の一致も含んだ上で、一番大事なのは“すきなきもち”だと思います。
いっしょに作っている作曲者さんの音楽がすき。
そしてそのご本人のお人柄もすき。
双方この関係でいられることが、一番健やかで、正しい形だなあと思うのです。
4thアルバム“anima”を作って、改めて実感したことでもあります。
皆さんが同じ気持ちかどうかはわからないけど…そうだったらいいなあ、そうだといいよね、のお話。
すきだなあ(この人の声がすき、このひとの音がすき)と思いあいながら作り上げる作品はとても尊いし楽しい。
愛し愛されて産まれたこどものような、愛おしさですね。
恋愛感情の好き、とはまたちょっと違う。
プラスのエネルギーには変わりないのですが。
もっと純粋な、こどもが「このうさぎのぬいぐるみがすき!だって可愛いじゃない!」
と言ってしまうようなそんな無垢な“すき”なのです。
「理由はわからないけれど、この対象物と触れている時は心が明るくなってなんだか光を感じるぞ。」
と感じられるものが”すきなもの”。
性に拘らないもっと大きな愛なのか。
私は学校生活が上手くいっていない側の中学生だった、と認識している。
今なら自分の未熟さ故の、其れ相応の罰や粛清を受けただけと思えるけれど、
影が落ちる日々を照らしてくれたのがインターネットだった。
楽しいコンテンツが目白押し。
毎日新しい情報や動画が行き交い、活気ある一つの大きな街に遊びに行くような感覚だった。
年齢も性別も見た目も関係なく、人と作品を通してコミュニケーションできる世界は、とても居心地が良かった。
闇の中に居る時程、一筋の光が眩しく見える。
”たのしい=すき“の気持ちでしか心は動かないし、
心が動くことによって身体も動く。
疲れた時はじっとしていても良いけれど、
じっとしながらも心だけはときめくことを諦めないことが
未来の一歩に繋がるのではないかと。
そう思うのは、自分がインターネットに出会って、「たのしいな」を追求した結果、今の自分が居るからです。
音楽を聴いたり、本を読んだり、絵を眺めたり、作品に触れることは大きく動かなくてもできることです。
生演奏や、絵の現物を観ることは身体を目的地まで持っていかなければならないですが。
外に自由に出れない今、色んなひとの光になり得るのが作品たち。
自分で作ってみるのもいいし、あたらしい出会いを求めるのもときめきに繋がりますよね。
まぁでも今はそんな気力も起きないほど、疲弊している人もたくさん居るだろうから、気が向いたらおすすめですよーってな感じで。
私もやっぱりなんだかしょんもりしてますしね。
だって楽しいことが確実に出来なくなっているから。
気にせず友達と会いたいし、LIVEもしたいし、行きたいし、
カラオケも行きたい、旅行もしたい。
きっとみんな似たようなきもちで、過ごしているのでしょうね。
同じ地面に立って、同じような箱の中で、
みんなのひかりとなるような作品を作っていけたらいいなと思います。
と、長々取り留めなくなってしまいましたが、
結局すきの力がいちばん輝いていて、人と人がすき!の気持ちを持って作った作品は最高だな!ってことを言いたかっただけです…。
当たり前と言えば当たり前なことを、日々考えて、閃いて、勝手に感動しています。
「うわ〜そうだよな〜それなんだよ〜!それそれ〜!」とひとりで盛り上がってる気持ちを共有したくなっちゃう。
今年の抱負は「好きなきもちを諦めないぞ」にしてみたので、
暫くのテーマにはなりそうです。
此れって謂わばエーリッヒ・フロム著「愛するということ」で書かれている
「愛は技術だろうか。技術だとしたら、知識と努力が必要だ。」と重なるところが多いのですが、咀嚼して私は「愛することをあきらめない!」に…。
音楽の歌詞でもたくさん出てくる“愛”。
人間のテーマであり、私は“愛”について考えてるだけで人生終わりそうです。
ちーん。
それではまた会いましょ〜。
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御手数ですが、何卒宜しくお願い致します。
あたたかくしてお過ごしくださいね。